◆【第89号】2024.8 自由に、何でも話せるようになるには(前編)

 前回は、「1on1とメンタリングの違い」についてお伝えをしました。

 

 1on1では、マネジメントの一環として行われる性質上、業務の進捗確認や目標設定などがメインになる傾向にあるのに対して、メンタリングは、「メンターとメンティーが、楽しみながら、自由なテーマで対話をし、共に成長する」ことが目的であり、仕事、プライベートの制限を設けず話し合うことが基本となることは、前回お伝えをした通りです。

 そうはいっても、はじめから誰でも自由に何でも話すことができるわけではありません。特に制度上のペアであれば、お互いが初対面か、それに近い状態であるというケースも多く、なおさらです。「何でも話せる」という関係は、言い換えればペアの間に信頼関係が構築できている状態であるとも言えます。 

今回から2回にわたり、「自由に、何でも話せるようになる」ためには、メンターとしてどのような段階を踏めばよいのかをお伝えをしたいと思います。もちろんメンタリングは「この段階をクリアしたら、次の段階へ」というような単純なものではなく、順番通りにいかないこともありますが、ひとつの目安としてご覧ください。

 

【「知り合う」 段階】

 

 ・まずは、笑顔、明るい挨拶から始まり、頷き、相づちなどで話しやすい雰囲気をつくる。

 ・趣味・嗜好、プライベートの活動など、その人の人柄や雰囲気が伝わる話をする。

 

 メンター制度において、メンティーを新入社員、メンターを先輩社員とすることも多いですが、こういった場合、お互いがどんな人か分からないなかで、何を話せばよいか迷ってしまう、というケースもしばしば見受けられます。

お互いが知り合うためにも、趣味・趣向や、その人の人柄や雰囲気が相手に伝わり、また話していて楽しいな、と思う話題から話してみましょう。

職場での対話というと、仕事の話題になりがちですが、メンターの側からあえてプライベートなことや、感じたこと、思ったことを率直に話すことによって、メンティーも安心して話をすることができるようになるのではないでしょうか。

ご参考までに、メンター、メンティーを交えてのメンタリング・スタート研修を行う際にも、知り合うこととはどういうことなのかを実感するために、アイスブレイクを兼ねてペアで自己紹介とともにお互いに趣味などの好きなことを話すワークから入ることも多いです。

 

 

【「相手に興味・関心を持つ」 段階】

 

 ・相手のことをもっと知りたい、と興味関心を持つとともに、それが伝わるようにする。

 ・相手がより自分のことを話してくれるように心がける。

 

趣味・趣向やプライベートの話を通じて、お互いの人となりが詳らかになってきます。

是非、「もっとこの人のことを知りたいな」「話を聞きたいな」というように相手に興味・関心を持つように心がけるともに、相手にもそれが伝わるような傾聴の姿勢で話を聴くとなおよいでしょう。人は、自分に興味・関心を持ってもらえると嬉しく感じるものです。そして、今度は相手もこちらに興味を持つようになり、より自分のことについて話してくれるようになります。

 

こうして少しずつ、メンターとメンティーの間に「この人とならいろいろなことを話せる」という信頼関係ができ始めてきます。メンタリングの初期の段階では、まずはここまでを目指してみるのが良いのではないでしょうか。

 

 

次回は、メンタリング中盤以降の、自己開示が進み、キャリアなどより深い話をする段階についてお伝えします。

 

メンター制度を導入する際には、日本メンター協会サイト内に導入事例がありますので、ぜひご参考にしてくださいまた、いつでも日本メンター協会のご相談窓口は開いております。どうぞお気軽にご連絡ください。

 

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