1999年以来、日本メンター協会では、様々な企業・団体でメンター制度についての相談を受けてきましたが、効果的にメンター制度を活用されているところが意外に少なく、あまり上手くいっていない例が多いと感じています。その原因は、メンター/メンタリングの理解不足や、シッカリとしたステップを踏まずにメンター制度を導入しているところにあるようです。
以下にメンター制度を導入・見直しのステップを簡単に解説しますので、参考にしてください。
まずは、制度導入担当者が、以下のことを知ることです。
① メンタリングの素晴らしさを実感すること
② メンター制度におけるメンターのあり方を理解すること
メンター制度は、極端に言えば、メンターとメンティーを選定し、メンタリングを実施することです。しかし、担当者がメンタリング・メンターの理解をすることなしに、形だけで制度を導入すると、多くの場合は、失敗に終わっています。まずは、担当者自身がメンタリングの素晴らしさを実感することから始めてください。そうして、「メンタリングとは何か?」「メンターとはどのような存在か?」をよく理解してください。
それから、メンター制度の理解へと進むことが順序です。
メンター制度の導入・見直しをする際には、日本メンター協会の「メンター制度導入無料説明会」に参加されることをお勧めします。同説明会では、メンタリングの素晴らしさをワークにより体感できます。
メンター制度導入の目的を設定することは、必要不可欠なポイントです。メンタリングには、様々な効果があり、制度の目的としては、主に以下のものがあげられます。
① 新入社員の定着促進
② 女性社員の活躍推進・管理職登用
③ マネージャー・リーダーの育成
④ 組織のコミュニケーション活性化
⑤ 組織の理念・技術・知識の伝承
※詳しくは、こちらをご覧ください。
組織の課題や問題を整理し、導入目的を設定します。同じ導入目的でも、組織によって、状況や背景が異なりますので、制度の仕組みが異なってきます。例えば、新入社員の定着促進でも、そのキーポイントは、「職場のコミュニケーションの問題なのか?」「マネジメントの問題なのか?」など、組織・対象によりいろいろと考えられます。場合によっては、専門家に相談することも必要になってきます。
目的が設定できれば、それにより、以下のような制度の骨格を決めていきます。
① メンティーおよびメンターの選定
② 制度の期間、およびメンタリングの頻度・回数・実施時間
③ メンタリングの実施場所・金銭等の援助・実施報告・教材などの整備
④ メンター・メンティーへの研修
メンティーとメンターの選定が一番のポイントになります。選定法も、応募、推薦、指名とありますが、どの方法を採用するかは、目的と組織の風土や状況によります。
期間や回数は、メンティーの年齢が若いほど、期間は長くなり、回数が多くなる傾向があります。
メンター制度の目的や意義の周知は、制度を効果的に運用するためには、とても大切なポイントです。厚生労働省のアンケートでは、メンター制度成功のポイントとして、「メンター・メンティーの教育」と並んで、上位に位置付けられています。
多くの組織では、業務時間内にメンタリング時間を設定します。必然的に、日常の職務を中断する必要がありますので、周囲の理解は必要不可欠です。
また、上司がメンタリングの意義を理解していないと、メンタリングに対しあらぬ詮索をしてしまい、メンタリングの継続に支障が出かねません。制度の説明会や勉強会などを開催して、制度の理解だけではなく、メンタリングを模擬体験し、その効用を実感してもらうといいでしょう。
メンター制度を導入する研修としては、以下のものがあげられます。
メンター制度を導入する際は、少なくとも、メンターに対する教育は必要不可欠です。メンタリングのやり方を理解することはもちろん、よりメンタリングを効果的なものにするためには、コミュニケーション・スキルの向上も大切です。メンターの候補者が足らない場合は、教育で補うことが一般的です。
ペアの信頼関係を醸成する意味で、メンターだけではなく、メンティーとペアでの研修受講も一般的になってきました。また、メンター制度をより効果的にするためにも、スタート時だけではなく、フォロー研修やエンディング研修、上司に対する教育なども実施する組織が増えています。
メンター制度が効果的に運用されているかを調査することは大切なことです。
制度期間の終了時に調査するだけではなく、制度期間の中間でも実施するべきです。
調査項目は以下の通りです。
① メンタリングが継続的に実施されているか
② メンタリングが効果的に実施されているか
③ 問題のあるメンタリングが実施されていないか
④ 組織の課題や問題の抽出
①の「メンタリングの継続」に関しては、できれば、モニタリングではなく、実施毎に報告することを義務づけることを勧めています。②③については、少なくとも、メンティーには、個別でヒアリングすることがベストです。モニタリングでは、メンタリングの課題を知るだけではなく、④のように、組織の問題や課題が浮き彫りになってきます。
ここでの解説は、基本となるステップや考えを述べている
もので、各職場の状況や目的により、進め方はまちまちです。
メンター制度を導入する際には、専門家に相談されることを
お勧めします。
【日本メンター協会】
Tel :03-6264-1191
Mail:m-jimukyoku@mentor-kyoukai.jp
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