業界特有である人材確保と新入社員の定着の難しさが重要な経営課題の1つでした。その解決のために、経営層、管理職層向けのメンター制度説明会を開催し、メンター、メンティー合同向けと一般社員向けに、それぞれスタート研修、フォロー研修、ステージアップ研修を実施しました。
これまで、建設土木関連の技術教育や社内業務の教育の他、次世代育成支援(次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、かつ、育成される環境の整備を図る)のための対策や女性活躍推進のための対策は講じてきました。
また、働きやすい組織づくりを目指して社内整備にも取り組み、2018年(平成30年)には、「健康経営優良法人(中小規模法人部門)」、令和元年には、「安全衛生優良企業」島根県内初の認定を受けることが出来ました。
しかし、コミュニケーションやチームビルディングに関する教育研修は、実施してきませんでした。
そんな背景もあり、職場内のコミュニケーションは活発な方とは言えませんでした。
上記のような取り組み制度だけでは、社内のコミュニケーションを活性化することは難しいと感じていましたが、結果的に、ここ数年前から新入社員の定着率が芳しくなくなってきました。
少子高齢化の進展に伴い、人材確保が企業の存続に大きな課題となり、併せて新入社員の定着率向上が経営課題の重要な1つとなっていました。
そうした観点でメンター制度をしっかりと社内に定着させることでこれらの課題解決に繫げることを目指し2020年(令和2年)からメンター制度を導入しました。
会社としては、上記の対策に加え、「和をもつ(企業理念)」企業として社内の「和」を構築すべく今後一層組織の一体感を醸成するためにメンター制度の導入を決めました。
メンタリング教材を監修している日本メンター協会のメンター制度で制度の運用を図りたいとの思いで、導入を決めました。
2020年(令和2年)当時、Q1で述べたように、新入社員の定着率が悪化してきた折に、メンター制度の導入を計画しました。ただ、その導入の仕組みは、日本メンター協会監修のメンタリングノート(販売元:プレスタイム)を採用し、教育研修は実施しない形でのメンター制度の導入でした。
結果としては、若手社員の離職を止めることはできませんでした。
翌年2021年(令和3年)には、日本メンター協会ではない研修会社に社員教育研修を依頼しました。年間3回の研修を実施しました。
しかし、思ったほどの成果効果は上がりませんでした。
そんな中、日本メンター協会からご提案(2022年・令和4年)もあり、教材を監修している日本メンター協会に研修を依頼してみようと考えました。
日本メンター協会での企画提案は、メンター制度の対象者であるメンターとメンティーに対する教育研修だけではなく、メンターメンティーを取り巻く一般社員に対するメンタリングの教育研修も大変重要だとのことでした。
経営層も社内のコミュニケーション風土に問題意識を持っていましたので、正に、渡りに船の企画提案でした。
上記の背景により、メンター制度の一層の理解を深めるために、経営層、管理職層向けのメンター制度説明会を開催し、メンター、メンティー合同向けと一般社員向けに、それぞれスタート研修、フォロー研修、ステージアップ研修を実施しました。
新入社員だけではなく、5年目までの若手社員を対象に、若手社員を取り巻く中堅社員達とが、気軽に声を掛け合い、職場で自然にコミュニケーションが発生する職場づくりを図りつつ、会社全体のコミュニケーション風土の改善をねらいとしてメンター制度の導入を図りました。
上記のねらいを推進しつつ、以下の3つの目的を掲げました。
1.新入社員の早期戦力化、メンター社員のスキルアップ。
2.社員の定着率の向上。
3.人を育む組織風土の創造、支えあい称えあう企業文化(職場・組織風土)づくり。
目的を推進する過程で、会社の一体感をさらに醸成しながら、社員個々人が会社を舞台に主体的に取り組み、結果として個々人が成長し、会社全体としても社会から求められる存在価値を高めることを目的としました。
【経営理念:責任をもつ、技術を高める、和をもつ】
①企業人としての業界の模範となり、社会、顧客、会社に対し強い責任を果たす。
②常に技術の研鑽をはかり、最高の品質のものを提供する。
③和をもって協力しあい、快適で活力ある職場を作る。
上記の経営理念のもと、「顧客満足」を追求し、建設業を通じて地域の基盤整備の一端を担い、より快適で利便性の高い地域づくりに邁進しています。
しっかりと制度運用を進めて、社内に変化が出てきていると感じています。
若手社員の離職は、減少しました。
社内のコミュニケーションも、ちょっとした雑談する機会や部署を超えた社員同士の会話も増えたように感じます。
社内の雰囲気も、以前よりずいぶん柔らかさが増したと感じています。
管理職層からは、部下からの相談事も以前よりも受けるようになったと報告を受けています。
まだまだ、これからだと考えておりますが、今後、人間関係がよりスムーズになることで、業務効率アップと業績向上につながればと期待しています。
・研修内で普段話さないことを話すことで相手のことを深く知りました。そのおかげで、研修後は1枚フィルターが剥がれた感じで相手と接することができた。
・後輩と積極的に会話をするように意識するようになり、実際、後輩との会話が増えた。
・自分の物事に対する先入観の幅が狭いことを知り、自分一人で考えるのではなく、積極的に意見を求めるようになった。
・普段、建設現場で他の社員と深く話すことは無かったが、面識のない人とも話すことができ、深く話す機会も増えた。
・相談や質問ごとがあれば、ためらいなく上司に話すようになった。
・上司との会話や話しづらいことなども、相談できるようになった。
・コミュニケーションの大切さが全ての根底にあると思います。組織力はコミュニケーションに支えられていると思っています。
・メンタリングスキルが、メンタリングペアのみならず、会社全体に浸透していけば大変良好な職場環境になると思います。
・自分のお客様に会った時も、挨拶だけでなく、話をするようになった。
続けていく中で、相談されることが増えた気がする。仕事ももらえたのが嬉しかった。
・自分の思いをしっかり伝えられる信頼関係ができ、プライベートや働き方について、様々なアドバイスをもらえた。
・人材無くして会社の発展は無いと思います。
一人でも多くの人材を迎え、持続的に働ける職場のためには、明るく、楽しく、気軽に話し合える環境が一番です。
そのためにも、学んだことをしっかり継続して取り組んでいきたいです。
・研修ワークで、部署間や個人間の考え方や観点の違いを感じました。
その違いを埋めたり歩み寄っていくためには、お互いの意見を素直に聴いて尊重する気持ちが大事だと思った。
・コミュニケーション能力を向上させるには、自分から主体的に話したりコミュニケーションを取っていくことが大切だと思った。
・仕事に対する向き合い方など、長く勤めておられる先輩方は、考え方一つ取りましても色々と思いが深いのだな、と思い至りました。
・研修ワークで、コミュニケーションの大切さやグループにおける「話し合いの口火を切る人」や「雰囲気づくり」のできる人が必要だということに気づきました。
・人に指示することの難しさが分かったので、指示を受ける際も「相手が何を伝えたいのか」を考えながら聞くようにしたいと思いました。
・人に何かを伝えるとき、自分がまず理解いていないと、相手に伝えることができないし、不安な気持ちにさせていることが分かりました。
職場でも、相手を不安にさせることの無いように、まず自分が理解することが大事だと思った。
・職場で若手を指導する際、メンバーのモチベーションを維持・向上させる表現を意識していきたいと思いました。
組織風土は、当社にとって非常に重要な資源だと考えております。
これは、一日で構築することは出来ないことですが、組織風土の持つ意義は、社内の技術能力以上の価値を生み出す源泉だと考えています。
求心力ある組織風土を核に、自社内だけでなく、地域社会をも巻き込む組織を目指して、メンター制度を基盤にメンタリング風土の構築を図っていきたいと考えております。
平井建設は、土木、建築、住宅事業を通じて地域環境への細やかな配慮を心掛け、人々に永く愛される街づくりを志向するとともに、万一の災害時にも迅速に対応するなど、きめ細やかな社内体制を構築し、お客様に提供できるよう心がけています。
そして、豊かな郷土建設に奉仕する、アットホームなトップの顔が見える、働きやすい職場です。今後も時代の変化に対応できる、フットワークの良い企業として、地域に根差した信頼される会社で有り続けたいと思っています。